「観光ビジネス未来白書(2013年版)」を読んだ
観光 × XX という形で,観光に関わる所々の事情について,XX ひとつにつき「現状」と「未来」に見開き1ページでまとめられている.
「未来」の部分は,紙面の都合上,細かな根拠やデータが示されていないものの,観光の未来を述べている一意見として注視したい.この部分は,数値を所々の統計手法を使って未来予想する!という形ではなく,著者の経験による部分が多く含んでいると考えられる.
興味深かったデータをいくつか挙げます
インバウンドビジネス
訪日外国人の平均旅行支出額は13万円であり,その内訳は,宿泊費4.5万,飲食費 2.8万,交通費 1.5 万,娯楽費 4,000円,買い物第 40,000円 となっている.
また旅行者が実施したことは,「日本食を食べること」「ショッピング」「繁華街町歩き」が上位となっている.
エコツーリズム
日本の18歳〜25歳の学生を対象とした「若年層の旅行性向調査・分析(観光庁, 2011)」によると,国内旅行の目的は「自然景観を見る・触れる」が最も高いので,エコツーリズムが若者向けにいいのではないかと,提案している
ペンションビジネス
- 2000年代前半から急激に市場規模が縮小している.他の観光とは比ではない.
- 農村部のペンションはグリーンツーリズム要素を取り込み,農山漁村の生活を満喫できる体験を提供していくとよいのでは,と提案している
農業体験ビジネス
- 右肩上がりの市場
- 農業体験から農村体験へ高度化
- 親子向けはそろそろ頭打ち
- 外国人向けのリーチが少ない
- 参加者の不満は農家のホスピタリティ
観光情報ビジネス
- 消費購買モデル(AISASの法則, AISCEASの法則)に基づいて,旅行行動を簡単にまとめている
- 今後重要となるのは,リアルタイム情報とカスタマイズされた情報
- 旅行前は,利用者の嗜好を把握して,観光地を知る,学ぶ,探す,比較する,予約するなどワンストップサービスの提供が望まれる
- 旅行中は,スマホ・タブレットを中心に,リアルタイム情報が必要.ルートガイドやスポット情報,渋滞予想,見所,クーポンなどなど
- 受入側(観光地側)はデジタルサイネージの活用も考えられる
- 観光客の行動履歴を収集し,マーケティングに役立てる仕組みが必要
- 旅行後は,その写真や日程を整理して,簡単に記録できるような仕組みがほしい
観光まちづくり
- 地域資源を活用した一貫したテーマ作りが重要
- 一過性のブームで終わらせない努力と工夫が必要
- 他地域との連携は必須
- 地域全体で,立場や業種を超えて協力する姿勢がひつよう.地域のファンをつくる.
まとめ
統計の出典が参考になる.興味を持った統計出典元はあとで調査したい. 著者らの未来予想のしかたは,統計の活用方法のひとつとして参考にしたい.
観光は様々な分野と関わっており,大きな市場であると全体を通じて再認識した.