「2052 今後40年のグローバル予測」を読んだ
この本を読むまで知りませんでしたが「成長の限界」という有名な本が1972年に出版されたそうです.人口増加や環境汚染が続けば地球は限界となるという警鐘を鳴らした本だそうです.
この本は,その「成長の限界」の研究・書籍化に関わった方が書いた本です. 「成長の限界」が出版されてから40年たった2012年に,過去のデータや経験をもとに40年後の2052年の世界を予想するというものです.
率直にいうと,未来は明るくはなかったです(かといって絶望的でもないです)
なお,この本は「空飛ぶ車」「どこでもドア」みたいに技術や製品を予想するものではなく,40年後の社会や経済を予想している本です.環境問題を中心に,地球は有限の資源であり,持続可能な社会をつくるべきだと訴えています.
読んだ理由
理由1. 「技術的特異点」と呼ばれる人工知能などをはじめとするコンピュータが進化して人間の知能を超えるような特異点が 2045年前後ではないかという説があり,なにか関連性があるのか期待した
理由2. 2052年は自分自身がちょうど現役を引退する時期であること = これからなにが起こるのかをどう予想されているのかしっておきたかった
結果からいうと,1. については核心をつくような関連性はつかめませんでした. 2. については,エネルギー・環境の問題に興味を持ちました.農業は衰退産業と予想されていたのは少し残念ですが.
概要と感想
第1部「背景」
ここでは,なぜこの本を出版するにいたったのか,そしてこの本で取り扱う2052年に向けて危惧される5つの問題を提示しています.
- 資本主義
- 経済成長
- 民主主義
- 世代間の平等
- 気候
この本のもとになった「成長の限界」や,GDPよりも幸福度,世界観である「パラダイム」の話など,視野が広くなる考え方が多くありました.
第2部「私の世界予測」
本書のメインとなるここでは,次の話を進めています
- 予測の根拠
- 2052年までの人口と消費
- 2052年までのエネルギーとCO2事情
- 2052年までの食料事情
- 2052年までの非物質的未来
- 2052年の時代精神
失業問題,食料問題やエネルギー問題は思ったよりも深刻ではなかったですが,環境問題は想像よりも悪いと感じました.
また,「2052年までの非物質的未来」では,情報技術やロボットについて話があり,身近な領域だったので特に興味を持ちました.プログラミング言語は人類が新たに得た重要な言語だという話や,それを自律的にプログラムをするプログラムがでてくるのではないかという予想がありました.
会社にとっての新しい社会的責任をとなえた「CSR 2.0」 も興味深かったです.
第3部「分析」
ここでは,予測を踏まえた分析を行います.
世界を次の5つのグループにわけて,予測していました.
結果は,どの地域も成長はするが,アメリカは比較的衰退し,中国や一部の途上国(2,4) のグループの成長は著しく,3は現状とあまり変わらず,5. は貧困とのことでした.
中国がもっとも消費が多い国になり,次いでアメリカ,2013年現在差のある3,4のグループの消費はほとんど差がなくなるようです.5は貧困でありますが,現状よりも生活水準は改善されるようです.
最後の第12章では,今後どうすべきかという話があり「20の個人的アドバイス」がありましたが,あまり受け入れやすいものではなかったです.著者らの世界観にはまだついていけないようです.